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2007年04月22日

●『毒薬変作醍醐(どくやくへんじてだいごとなす)』

 人間は、知る限りにおいて自分が経験した文脈を抽象化して端的に伝えるために短い語や句をつくる習性があるようだ。
禅においては“一転語”と言う“見解(けんげ):悟りの凝縮文”を、記憶に残りやすい、言ってみれば、潜在意識に落ちやすいようにリズミカルな“句”として表現する。例えば、喫茶去や本来無一物、無事是貴人、日々是好日など。同様に、俗世間でも、今風に言えば表現と意味合いの関係を結びつける“辞書や辞典”が沢山生まれた。それを一般的には『事物解説書』と呼ぶ。数多ある中に寛文四年に発刊された『世話支那草』というのがある。その中に禅寺に伝わる『毒薬変作醍醐(どくやくへんじてだいごとなす)』に似ている『毒薬(どくやく)変(へん)じて薬(くすり)となる』という件(くだり)がある。似て非なるが何れが元で先かは定かではない。表題の「毒にも薬にもなる草は料理次第で美味なる馳走(醍醐のこと)になる」という意味。禅寺では『毒薬変作醍醐』にどんな心と託しているかは、夫々の師の解釈によるが、拙僧が教えられた?または、理解したのは「師の罵声は軽薄な弟子は“怒られた”ととり、賢明な弟子は“叱られた”と取る」。結果、怒られたと思えば意気消沈し、叱られたと思えば奮起し修行に拍車がかかる。
 本日の禅会で「殺人刀(せつにんとう)活人剣(かつにんけん)は上古(じょうこ)の風規、今時の枢要」という碧巌録十二則の圜悟克勤和尚が羅山道閑の言葉を引用した件の話をした。禅語として取れば“刀や剣”は“般若の智慧(良く切れるから刀剣に準えられている)”となのだが、拙僧の解釈は“力(力≒仏≒智慧”)とし、活人禅寺では解釈させている。つまり、“力(智慧や罵声)”は使いようで、相手に劣等感を植え付ける場合もあれば、有能感を与えることもあるので注意して使えと、いうことを話した。活人禅の語源であるから、参禅者は知っていて当然なのだが、何度も何度も言わないと、忘れる者も出る。
 勿論、拙僧の罵声に耐えて参禅、公案工夫9年。これが後継者(印可)の最低条件であることは事実。何故なら、拙僧の罵声に絶えられれば、如何なる時でも『平常心是道』が身につく。
 さて、表題も、活人剣の件も、俗の教訓においても異口同音に示しているのは、『力は使いよう』ということである。転じて「才能、財産、技術、知識、地位、体力、若さなど・・・・」は“使い方次第”ということである。勿論、“力”を正しく使えるようになれるには、『六波羅蜜行』である『布施・持戒(自戒ではない)・精進・忍辱(にんにく)・禅定・智慧を実践することは言うの及ばず。それには“善根”に害を及ぼす煩悩である『貧(とん)・瞋(じん)・痴(ち)』、“むさぼり、うらみ、愚痴ること”の三毒を追放する。そのためには、眼、耳、鼻、舌、身の五つの感覚器官(五根)は入ってくる“情報”で生まれる五欲、色、声、香、味、触である五境を通じて“意”が生じるメカニズムを理解し、チッポけな“小欲”である『必要以上の物(金銭)欲、快楽のための性欲、選好みや美食などの食欲、目的としての名誉欲(結果ではない)、必要以上の惰眠である睡眠欲』などなどの“アドレナリン中毒、βエンドルフィン依存症”と決別し、天下国家、地球を俯瞰するような『大欲一個』に集中するのが肝要ということである。それが“精進”の意味であり、只管に道を究めようとする“禅定(坐禅のこと・只管のに与えられた仕事に打ち込むこと)”が、あるとき忽然として“悟り”を生み、結果的に“智慧”となり、そこから“智慧≒力≒仏(衆生本来仏なり・己の外に仏無し・・)となるのである。また、日常的な行動規範である『八正道』、つまり『正見(先入観を持たずに純粋な事実を正しく見る)・正思(正しく考えて事実の背後にある本質を考える)・正語(パロールという個人的な方言ではなく長い間に洗練されてきた標準的な意味であるラングを使って正しく話し、書くこと)、正業(コンプライアンスに自信の持てる正しい仕事や行動を行なうこと)、正精進(志した正しい道を只管に歩むこと)、正念(一点にフォーカスされた正しい念(おもい)、正定(師に従った正しい坐禅や規矩作法)』を重視して生きることが必須なのである。
 よく聞け。禅は“今・此処に正に生きている人間”が、迷い無く活き活きと生きることを身に着ける“道”なのだ。言い換えれば、自分を“経営”出来るようにするのが“禅”なのである。我欲の為に作業する“月給鳥”には無縁。己の持ち味を存分に発揮して、天下の為に生きる“乾坤只一人”の菩薩育成機関である。薄っぺらなヒューマニズムなど無用。負け犬など門前で叩き切る。強く活き活きと生きようという“生きる覚悟”をさせるのが禅である。忘れるな。とは言っても、来る者は拒まず、去るものは追わずもまた、禅である。
●最後に一言。
昨日今日輸入された“バリュー、ビジョン、ミッション、フィロソフィーなど”というキリスト教的な“性悪説”の国の“お題目”に踊らされている“似非・日本人”。取り分け政界や財界をリードする権力者は、己の見せ掛けの“地位・財力・発言力”を今一度点検し、長ずる者の生き方に気付いてもらいたい。それが本物の『ノブレス・オブリージュ (noblesse oblige)フランス語』であり「財産、権力、社会的地位を背景にした高貴な者の義務(社会的責任:CSR)」である。
●ぼやき
「わかんねーだろうな」成金には・・・。
一日一生 慧智(070422)願わくは、この功徳を以って普く一切に及ぼし、我らと衆生と皆ともに、仏道を成ぜんことを

投稿者 echi : 2007年04月22日 13:44

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